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壊されてしまった 機動6課と地上本部 だが、倒れてばかりではいられない 戦場は、空へ 集長の一言 無残に破壊された機動6課。 負傷の隊員たち。 あまりにも無残 これからどうなるのだろう? 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 18 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル 書き手紹介 3314 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 30 19 ID ???0 遂に完結2周年突破! リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルの書き手紹介! 【渾名】灼熱の英雄王 【トリップ】◆Vj6e1anjAc 【投下数】44作 【代表作】「月蝕・終章」「魔法少女、これからも。(最終回)」 本スレでの連載と並行し、企画最初期からSSを投下し続けた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 繋ぎから熱血バトル、鬱展開と、満遍なく投下数を重ねている。 自らが元SSを連載していたセフィロスのエピソードは、「元SSの続編のようだ」と話題を呼んだ。 【渾名】叡智の司書長 【トリップ】◆7pf62HiyTE 【投下数】38 【代表作】「王の財宝」「Zに繋がる物語」 序盤と中盤の境目あたりから名乗りを上げた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 脳筋共が大暴れする中、着実に考察エピソードを重ね、知能面からなのはロワを支えた。 難しいテーマをめげることなく、コンスタントに投下し続けたその姿勢には、敬意を表したい。 【渾名】非情の殲滅者 【トリップ】◆HlLdWe.oBM 【投下数】38 【代表作】「崩落 の ステージ」「Round ZERO~AMBITION SECRET」 企画が軌道に乗った頃から参戦し、以降終盤まで企画を支えた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 他の書き手達が嬉々としてやんちゃを働く中、こつこつとキルスコアを稼いだマーダー書き手。 地味だが堅実なエピソードが多く、彼もまたこのロワの完結には、欠かせない存在であったと言えよう。 【渾名】光速の竜騎兵 【トリップ】◆gFOqjEuBs6 【投下数】21 【代表作】「タイムラグは30分」「Alive a life」 本スレでの連載と並行し、最初期から企画を支えた書き手。 記念すべき第200話では、エピローグ書き手としてロワを締めくくっている。 本ロワのウェイトを大きく占める、特撮作品への造詣が深く、数多くの印象深いエピソードを投下している。 【渾名】不屈の先駆者 【トリップ】◆Qpd0JbP8YI 【投下数】19 【代表作】「なごり雪」「Little Wish」 企画最初期から参戦し、主に中盤までを支えた書き手。 流れが停滞し始めた頃に、怒涛のごとくSSを重ねた、序盤最大の功労者の1人。 あらゆるジャンルのSSを投下していたが、特に叙情的なエピソードを得意としている。 3315 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 32 52 ID ???0 【渾名】荒野の銃撃手 【トリップ】◆jiPkKgmerY 【投下数】10 【代表作】「童子切丸は砕けない」「それでも台風は微笑う。そして奔る」 本スレでの連載と並行し、主に中盤までを支えた書き手。 独特なムードを持ったSSは、読み手の心に深く染み込み、その心を掴んで離さない。 意外とド派手に状況を動かすことも多く、なのはロワ=大量破壊の風潮の先駆けとなった人物でもある。 【渾名】暗黒の破壊神 【トリップ】◆WslPJpzlnU 【投下数】6 【代表作】「盟友」「13人の超新星」 本スレでの連載と並行し、主に序盤に投下を重ねた書き手。 投下数こそ少ないが、1つ1つの文章が、強烈なインパクトを宿している。 暴力的なパワーを持ったバトル描写と、後半で手掛けたなのはロワ最大のどんでん返しは、まさに破壊神の名に相応しい。 【渾名】天道の探究者 【トリップ】◆LuuKRM2PEg 【投下数】5 【代表作】「罪」「解ける謎!」 本スレでの連載と並行し、終盤の展開を支えた書き手。 主に繋ぎを担当することが多く、縁の下の力持ちとして、ラストスパートを支えていた。 必然、投下数は少なくなってしまったが、今後他のロワにおいても、活躍を期待したい。 【渾名】勇気の挑戦者 【トリップ】◆19OIuwPQTE 【投下数】1 【代表作】「魔法少女リリカルなのはBR」 なんと最終回の一歩手前という、大変なタイミングで殴り込んできた書き手。 投下数は僅か1作だが、混戦を見事にまとめ上げ、続く最終回へのバトンを託した。 状況的に相当な勇気の要るタイミングでの参戦に、改めて敬意を表したい。 3352 :やってられない名無しさん:2013/03/01(金) 23 55 33 ID ???0 3314-3315 なのはロワはゲームで「星光の殲滅者」とか「雷刃の襲撃者」とか出てくるからそこから取ったのかと思われる と、2名追加で紹介してみる 【渾名】連環の言葉使 【トリップ】◆WwbWwZAI1c 【投下数】5 【代表作】「お昼ごはんの時間だよ」「Ooze Garden(軟泥の庭)」 中盤から終盤にかけてふっと現れてササッと繋ぎ話を投下した書き手。 一見どれも普通の繋ぎ話に見えるが、実はタイトルがしりとりになるという仕込みを入れている。 終盤でセリフオンリーの話を書いてみたりと、少々変わった言葉の使い方をする繋ぎ書き手である。 【渾名】開幕の遊戯士 【トリップ】◆UOleKa/vQo 【投下数】3 【代表作】「それは最悪の始まりなの」「オタクと吸血鬼とレバ剣と」 本スレでの連載と並行し、記念すべきオープニングを投下した書き手。 投下数こそ少ないものの終盤まで続くスバル&こなたのペアを生み出した事は外せない。 またオープニングで主催者プレシアにロワを「デスゲーム」と呼ばせているのは、遊戯王GXとのクロスSSを書いている氏ならではと言えよう。
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【なのは】【フェイト】【はやて】 Next ……起きないから奇跡って言うんですよ 試し書き 以下、リリカルなのはクロス作品ロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する 【ロワでの面識】 キャラ名 呼称 関係 初遭遇 以下、リリカルなのはクロス作品ロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する 【ロワでの面識】 キャラ名 呼称 関係 初遭遇 高町なのは(A s) 高町なのは(sts) フェイト・T・ハラオウン(A s) フェイト・T・ハラオウン(sts) 八神はやて(A s) 八神はやて(sts) ユーノ・スクライア クロノ・ハラオウン シグナム ヴィータ シャマル ザフィーラ スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター エリオ・モンディアル キャロ・ル・ルシエ ヴィヴィオ ギンガ・ナカジマ ルーテシア・アルピーノ ゼスト・グランガイツ クアットロ チンク ディエチ [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] CROSS CHANNEL CROSS CHANNEL 【なのは】 【なのは】 【なのは】 【なのは】 http //www5.atwiki.jp/nanoharow/archive/20080830/d4d480f9f0f1f70d8bf176a3eebc2ed5 http //www5.atwiki.jp/nanoharow/archive/20080913/d4d480f9f0f1f70d8bf176a3eebc2ed5 コメント テスト -- 名無しさん (2008-09-02 19 13 16) 名前 コメント 参加者名簿のテンプレ 【名前】 【出典】 【声優】 【種族】 【性別】 【年齢】 【外見】 【性格】 【原作での設定】 【クロスにおける原作との相違点】 【面識のある参加者】 名前 呼び名 関係 [[]] 【技能・能力】 能力名 内容 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。
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謎の少女と持っていた レリック。 それにより、動き出すものたち それに立ち向かう機動6課のフォアード陣 力は、もっている 跡は、フォアード陣の頑張りだけだ 集長の一言 地下では、機動6課新人フォアード陣が、 召喚した知に苦戦するが、 ヴィータ・リーンⅡの活躍により、回避する そして、ロストロギアを守るべくシャロに、提案する ティアナ。その秘策とは? 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 12 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
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第五話「嵐の前」 「シグナム、そっちに行ったぞ!」 「分かっている!」 とある砂漠だらけの星で、シグナムと俺はミミズのような体をした巨大な生物と相対していた。 目的はもちろんリンカーコアの蒐集、このサイズならば結構な量のコアが取れる。 「シュランゲバイゼン!!」 ガシャン レヴァンティンの柄の一部が前後し、カートリッジを一発消費、その身を一変させる。 そしてシグナムは雄たけびと共に自らの得物を振りかぶり、突撃していく。 ズガシャァッ!! GYAOOOOOOOOOOOOON!! 掛声と共に振り下ろされたレヴァンティンが砂竜へと叩き込まれ、砂竜は断末魔を上げながら砂の海に倒れた。 得物を鞘に戻しつつ、完全に気絶したことを確認したシグナムが声をかけてくる。 「よし、これでまたページが増える。いい動きだったぞ、ゴウ」 「いや、俺がしたのは軽い援護と気を引くことぐらいだった。今回はお前の手柄だろう」 「そうでもないと思うぞ。飛行魔法もだいぶ上達したし、魔力コントロールも上手くできたんじゃないか?修行の成果が出てると私は思うがな」 ふむ、と俺は自身の手のひらを見つめる。自覚はあまりなかったが、魔導士としての実力は着々と付いているらしい。 俺は自らの中にあるモノを確かめるように、その手を握り締める。 『と言っても、時折私が補助しなければならなかった所も多々ありましたがね。さっきなんか飛行に使う魔力が途切れて落ちかけてましたし』 腰の後ろから聞こえてきた声に、握った拳どころか全身の力がガクッと抜けるのを感じた。 俺は腰の鞘から刀型デバイス「陰牙」を引き抜いてそれに向けて言う。 「感謝は一応するが、一々余計な口を挟むな、陰牙」 『ですが事実は事実です。大切なのは失敗することではなく、失敗を次に活かすことなのですよ、主』 「お前に指摘されるほど馬鹿じゃない。いいから口を閉じてろ」 『認めたくないものですね、若さ故の過ちとは・・・』 「術の的にしてもいいんだぞ…?」 『・・・・・・・・・御意』 ようやく黙った陰牙をしまってシグナムの方を見ると、腹を抱えながら肩を震わせていた。 …はやてみたいな笑い方をしやがって。 「…笑うんじゃない」 「ス、スマン…ブフッ!デバイスと口喧嘩するやつなんて初めて見たんでな…ククッ」 「こいつが口うるさいんだから仕方がないだろう。こっちもいい迷惑だ」 「そうか?結構仲が良さそうに見えるがな」 「フン、まぁいい。それじゃあとっとと蒐集して移動するぞ、長居は無用だ」 「ああ」 『御意』 シグナムは答えたあとリンカーコア蒐集の術式を発動させ、蒐集を開始した。 …俺はふと、なんだか妙な気分になった。 ほんの半年前までは、俺は孤独に生き、一日をただ与えられる任務に費やすことばかりの生き方だった。 それが今では、仲間と共にこんな辺鄙な世界に渡り、魔法を駆使して闘っている。 …仲間、か。 多分俺は、嬉しいのだろう。あの夜失ったもの、望んでも永久に戻らないものと、再びいられて。 そして、こんなろくでなしの男を家族と呼び、受け入れてくれた少女と出会えて。 本来ならば、道を踏み外した男が得るには余りにも過ぎたものだろう。 だが例え共にいることによって罰を受けるとしても、いつかあの場所に帰る時間が来るまで、あいつらと共に生きたい。 そしてあの少女を、はやてを助けたい。今心にあるのはそれだけだった。 (フ…そういえば、誰かからの依頼ではなく、自分の意志で何かの為に動くのは今回が初めてだな。俺もどこか変わったな) 口元を覆う布の下で自嘲的な笑みを浮かべつつ、俺はシグナムの方に振り向く。 しかし、俺はその時見た。シグナムの背後の砂が不意に盛り上がるのを。 蒐集に集中しているシグナムは気がついていない。 「シグナム、後ろだ!」 「何っ!?」 警告を受けたシグナムは危険に気づき、慌ててその場を回避する。 直後、飛び出してきた小型の砂竜が数瞬前までシグナムのいた場所へ向けて喰らいついてきた。 「新手がいたのか…危ない所だった……」 「迂闊だな。物事の終わる瞬間は一番気が緩むんだ。油断するな」 「スマン……って、さっきまでデバイスと漫才やってた奴には言われたくないっ!!」 怒りの四つ角を額に浮かべながら指さしてくるシグナム。残念ながら否定はできなかった。 『一本取られましたね、主』 呑気に言う陰牙。誰のせいだと思ってるんだ。 「冗談はさて置きだ。どうやら幼生体らしいが、こいつも倒せば二匹分の蒐集が出来るな」 「丁度いい、もう一匹…」 「シグナム、ここは俺にやらせてくれんか?」 「え?」 やる気満々のシグナムを制し、俺は言った。 「今度は俺が前面に出る。力が付いているのなら、自分の実力を確かめたい」 「そこまで言うならい構わんが。大丈夫か?見てたろうが、奴は手ごわいぞ?」 「心配してくれるのか?烈火の将殿」 「仲間、だからな。あの夜互いに誓ったろう?」 シグナムは意味ありげに微笑んだ。 俺もその言葉に口元を緩める。 「そうだったな」 「それに、おまえは魔法を教えている弟子みたいなものだ。弟子にこんな場所で死なれちゃ寝覚めが悪い」 「弟子入りしたつもりは無いんだがな…さて、始めるか」 気を引き締め直し、砂竜と向き直る。 凶暴な野生動物の発する闘気が、ビリビリと肌に伝わってくる。 (宇高多の暴れ熊もけかなりのものだったが、コイツはそれ以上だな。…だが負ける気は無い) GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!! 砂竜の叫び声を合図に、戦闘の火蓋は切って落とされた。 俺は牽制に手裏剣を形成し、続けざまにして投げつける。 しかし、相手のほぼ全身を覆う鎧甲の固さに、放った手裏剣はひとつ残らず弾かれ、消える。 「やはりこの程度では威力不足か…ならば…むっ!」 次の手を考える暇も与えず、その巨体からは考え付かぬ速さで砂竜が突撃してきた。 俺はとっさに上方に飛び上り回避する。 体力、力、丈夫さ、どれをとっても予想以上だ。 だが、所詮は獣、知恵に関してだけは人間に分がある。 俺は懐から自作の煙玉を取り出し、砂竜に向けて投げつけた。 投げたのは忘却玉。一時的に頭の中を真っ白にしてしまう代物だ。 ボンッ!! 鼻先に当たった忘却玉は期待どおりに効果を発し、砂竜の動きを止める。 元々人間用のものだし、あの巨体にそうそう長い時間効いているとは思わない。 だがそんなわずかな隙でも、開発したばかりの術をぶち込むには十分な時間だった。 左手に魔力を集中。作るのはさっきも作った手裏剣状の魔力弾を多少大きくしたもの。 しかし、それだけでは終わらない。その手裏剣の中央に、さらに魔力を集中させ、「球」を形成する。 そして徐々に形になるそれに、性質変化で爆発の性質を持たせる。 手裏剣だけでは威力が足りない。爆裂弾では速度も誘導性も無い。 なら、二つを足せばどうだ。高い威力を持った、高速誘導弾ができるのではないか。 考えは安直かもしれないが、十分な結果を出せるのなら発端など糞くらえだ。 今の俺には確かな力がある。それを使って必要な結果をもぎ取るだけだ。 そして「それ」は実戦で初めて日の目を見る。 喜べ、ミミズもどき。生物相手に使うのはお前が初めてなのだから。 俺は、出来上がったそれを、修練の結果の一端を僅かに見たあと、砂竜へ向けて放つ。俺の「力」の結晶の名前を叫びながら。 「火車剣、行けよっ!」 手裏剣よりやや遅く、しかし今までの爆裂弾とは段違いの速度を持ったそれは、吸い込まれるように静かに近づき、そして轟音と共に破裂した。 瞬間的に周囲を包んだ光が消え、後には鎧甲に大きな焼け焦げを作った砂竜の姿があった。 呼吸が荒くなっており、出てきた時より強い殺気が視線から感じられる。これはキレたな。 俺はその光景を見ながら、対人戦には余り向かないとか、もう少し速度を上げた方が良いか等と考えていた。 自分が変わったなどと思っていたが、戦闘者としての俺の根幹は変わっていないし、錆ついてもいなかったらしい。 「ふむ、あの図体の相手にあれだけ損害を与えられれば威力は十分か」 「やるじゃないか。いつの間にこんな技を」 「つい最近な。それよりまだ仕留められんか……手負いの獣は厄介だからな、暴れだす前にケリをつけるか」 「どうする気だ?」 「それなんだが…お前のさっきの技を見て閃いたものがある。技を借りることになるかもな」 「面白そうだ。見せてもらおうか、弟子よ」 「だから弟子と呼ぶな!」 会話を終わらせた後、俺は左手の手甲を砂竜へ向け、そこから魔力のワイヤーを発射する。 放たれたワイヤーは陰牙の操作により、さながら蛇のごとく砂竜の体に巻きついていく。 砂竜は叫び声をあげてワイヤーを引き千切ろうとしているが、ひっぱる傍からどんどん伸ばしているし、その程度でコイツは切れやしない。 大蛇が自分より小さな蛇に巻きつかれているように見えるその様は、滑稽かつ皮肉なものに見えた。 頭部から体の中ほどまで縛り付けた辺りで、ワイヤーを切り離す。 そして告げる。相手にトドメを刺すべく、感情を込めない声で、最後の言葉を。 「爆ぜろ」 直後、さっきのが爆発が手持ち花火に見えるほどの爆風が広がる。 一帯に煙が濛々と広がり、それが晴れた時見えたのは完全に気を失い、倒れ伏す砂竜の姿。 「流石にこいつは効いたようだな」 「ほぉ、シュランゲバイゼンからヒントを得たのか。しかしよく思いついたな」 「現場での咄嗟の閃きも、忍の術の一つだ」 「ふむ、成程。時に、この技の名は?」 「たった今作ったからな、未定だ。せっかくだから、お前が付けてくれんか?」 「私が?」 「元々お前の技から思いついたんだ。名付け親を頼みたい」 「わかった。では…シュランゲバイゼンの蛇の名を冠し、火蛇(かだ)なんてどうだ?」 「ふむ、まぁ悪くない。それでいいな」 「決まりだな。…ん?」 「何だ?」 「ザフィーラから通信だ。海鳴市でヴィータが敵と交戦中で支援が要るらしい」 「行ってこい。この場は俺が引き受ける」 「そうか、すまない。では頼んだぞ」 話を切り上げ、シグナムは転移魔法で移動していった。 さて、俺は蒐集と… 『主、複数の生体反応が接近中です』 三下共の相手をしてやらなきゃならん。 「分かっている」 さっきの奴と同じ大きさの砂竜が三匹、タイミングを見計らったように出てくる。 察するに、自分たちの親兄弟の仇打ちってところか。 こいつらにそんな知能があるかなんぞ知らないが、こっちにすれば好都合だ。 「許せ、などとは言わない。恨んでくれていい。 理不尽な暴力を行った罪も業も、全て背負う。だから……貴様らのコアも、頂いていく!」 そして俺は陰牙を引き抜き、襲いかかる砂竜の群れに単身突っ込んで行った。 「フゥ……流石に、三体同時相手は骨が折れたな」 砂竜に辛くも勝利した後、近くの岩場で腰を落ち着けていた俺は、溜息とともに漏らす。 『主、体内の魔力量が限界近くです。今日はもう引き上げましょう』 「ああ。だがその前に…」 俺は立ち上がると同時に、ワンアクションで手裏剣を構成、背後の空間に投げつける。 すると何もない筈の空間が歪み、仮面をつけた長身の男が姿を現した。 「貴様が何者か、話してもらおうか。次弾を当たられたくないならな」 「これは驚いた・・・まさかバレていたとは」 「姿を消せば分からないと思っているのは三流だ。絡みつくような気配がヒシヒシ感じられたぞ?」 「なるほど・・・これはうっかりしたな」 言いながらも男に焦るような様子は見られない。 いざとなればすぐさま斬りつけられるよう構えながら、俺は尋問を始めた。 「貴様は誰だ。何故俺を見ていた?」 「お前の実力を確認していた・・・。」 「何?」 「私は闇の書の完成を望む者、とだけ言っておこうか・・・」 「ッ!? どういう意味だ!」 「教えるのはここまでだ。この先はお前には知る権利がない・・・」 「立場が分かっていないのか?」 「無理をするな・・・さっきの戦いで体力も魔力も残り少ないのだろう・・・?」 「…チッ」 舌打ちをして、俺は鯉口を切っていた陰牙を元に戻す。確かに、もう一戦渡り合えるほどの余裕はない。 「さっき言ったとおり、私は闇の書が完全に目覚めればそれでいい。それだけだ・・・」 「どうだかな」 「勘ぐらなくていい・・・ではな」 そこで会話を切り、男は足もとに魔方陣を展開し、溶けるように消えていった。 「…陰牙、奴の後は追えるか?」 『不可能です。恐ろしく厳重に追跡防止の術式が使われています』 「くそ…仕方がない、戻るぞ」 『御意』 俺もまた魔方陣を展開し、地球へと帰還した。 「お帰り、ゴウ。随分かかったな」 「ああ、ただいま。はやてはどうした?」 「今、ヴィータとシャマルと一緒に入浴中だ」 「そうか。で、“ソッチ”はどうだった」 八神家に戻った俺は、リビングにいたシグナムとザフィーラと情報を交換し合う。 「かなり良質のリンカーコアが蒐集できた。10ページ以上はある」 「それは重畳」 「だが悪い知らせもある。管理局の次元航行部隊の人間に姿を見られた。今後は蒐集がし辛くなる」 床に寝そべっていた獣形体のザフィーラが不意に口を挟む。 「次元航行部隊?」 「次元航行艦で各世界を渡り歩いている部隊のことだ。戦闘員のほとんどが空士で、そこらの雑魚より手強い」 「だがザフィーラ、管理局とは一度やり合ったじゃないか?」 「あれは地方の一警備部隊だ。おそらく違法魔導士くらいにしか思われていないだろう」 「だが次元世界を移動する部隊となると話は別だ。我々の過去の情報も調べられているだろうし、反応を検知されれば即座に飛んでくる」 「以前の連中とは別格ということか」 「うむ。それに因縁も出来てしまった」 そう言って自分の上着をめくるシグナム。そこには横一文字の赤い傷痕があった。 「食らったのか?」 「ああ。剣技には自信があったが、一撃な。武器の差がなければどうなってたか…。あいつはきっと、今後も私の前に出てくるだろうな」 その時のシグナムは、心なしか嬉しそうに俺には見えた。 戦闘狂もほどほどにしてほしいものだ。 「それでゴウ、お前の方はどうだった」 ザフィーラに促され、俺は仮面の男のことを思い出したが、この場ではあえてまだ話さなかった。 俺は回収したコアを渡し、そのまま自室へ行って休むために着替えて布団に入る。 薄暗い部屋の中、天井を見上げながら物思いに耽っていた俺に、机に置いた陰牙が話しかけてきた。 『よろしかったのですか、主?』 「何がだ」 『あの仮面の男のことを話さなかった事です』 「情報が少なすぎる。それに余計な懸案事項を増やすのは得策じゃない。あいつらの不安を更に煽ることになる」 『そうですか』 「もう一度現れたら、その時には話す」 『了解。それでは主、良い夢を』 「ああ」 (敵対はしないなどと言ってたが、目的を明かさない辺りが信用できん…このままでは終わらんだろう。 一荒れ、来るかも知れん…な…) 溜まっていた疲れには勝てず、俺の意識はそのままゆっくりと闇に落ちていった。 ちなみに翌朝起床した後、昨晩風呂に入らなかった事を思い出して朝風呂に入ろうと向かったところ、先に入っていたシグナムとバッタリ遭遇。 顔を真っ赤にしたシグナムにしこたまブチのめされたのはあまり本筋とは関係がない話だ。 続く。
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魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第四話「蠢く野望」 機動六課のスターズ及びライトニングの両部隊の隊長であるなのはとフェイトの二人が倒された事はフォワード4人に多大なショックを与えた。 なのはとフェイトがたった一人の戦闘機人、それも死人に敗れたのだから無理も無い。 機動六課の医務室でなのはは一人で白い天井を眺めていた。 フェイトは既に体調を取り戻して医務室を後にしてシャマルも今は席を外しているいる為、なのはは一人医務室のベッドの上で横になっていた。 別にまだ身体の調子が戻らないという訳ではない、純魔力ダメージで受けた疲労なら既に全快している。 だが心に空虚な思いが引っかかり起きる気になれないのだ。 その時、医務室のドアが開き小さな鉄槌の騎士がやって来た。 「なのは、大丈夫か?」 「うん…もう平気だよ」 「本当か? 元気無さそうだぞ」 なのはの様子に心配そうな顔をするヴィータ。彼女はかつて目の前でなのはが倒れるのを見ているだけに誰よりなのはの身を案じていた。 なのはは天井を眺めながらふとヴィータに問いかけた。 「ねえ、ヴィータちゃん。ウォーキング・デッド…あの人の事どう思う?」 「はあ? 何言ってんだ?」 「あの人ね…戦ってる時に、あの戦闘機人の子達に笑ったんだ……すごく優しい顔で…それに“ファミリーを守る”って言葉も。……なんとなく分かるんだ、きっとあの人は悪い人じゃないよ…」 思い出されるのは傍らの少女に微笑んだ死人の顔、それは意思無き屍の顔などではなく優しい心を持った人間そのものだった。 故に彼の姿はなのはの心を否応無く揺さぶる。 「そうかもな……でも関係ねえよ。あいつが優しい奴だとしても、法を犯すならそれをぶっ倒すのがあたしらの仕事だ」 「それは分かってる……でも…」 なのはは自分が甘いという事は分かっている、それでもあの人が武器を取る理由を知りたいという想いを捨て切れない。 だからなのはは静かに呟いた。 「お話……聞かせて欲しいな」 地下に居を構える巨大な施設、それは違法の科学者ジェイル・スカリエッティの根城にして戦闘機人ナンバーズと死人兵士ビヨンド・ザ・グレイヴの家でもある。 そしてその施設内に存在する大規模な戦闘訓練用のスペースに黒い影が駆ける。 砂漠を模した砂の大地に幾つかのビル群で遮蔽物を構成された戦闘訓練施設でグレイヴはナンバーズとの模擬戦に興じていた。 手に巨大な二丁銃ケルベロスを携えた死人兵士は雨と降る誘導弾を掻い潜り遮蔽物の間を駆け抜ける。 一向に当たる気配のない自分の誘導弾にウェンディは顔を歪める。 グレイヴはまるで最初からウェンディの放つ誘導弾の軌道を知っているかのように避けていくのだ。 そのウェンディの攻撃にノーヴェがガンナックルで放つ射撃も加わるが彼女の稚拙な射撃では絶望的なまでに当たる気配はない。 だが数だけなら多い二人の攻撃にグレイヴは遮蔽物のビル群の中に追い詰められていく。 「よっしゃあ! 追い詰めたぞ!!」 「そろそろ決めるっす~」 二人はそう言いながら不用意にビルの中へと入っていく、それは彼が最初から仕組んでいた戦略の一つとは考えもしなかった。 入った途端にウェンディのライディングボードにケルベロスの15mm弾頭が正確に当たり一瞬でその機能を殺して、ウェンディの戦闘能力を奪う。 限られた出入り口から顔を出す獲物を狙う事など、最高の殺し屋にして最強の死人兵士である彼にはあまりにも簡単だった。 ちなみにノーヴェを一緒に撃たなかったのは彼女のプライドを傷つけない為の配慮である。 その時、グレイヴの背後に突如として長い髪をなびかせた双剣を持つ少女の影が躍る。 それは今まで強襲の隙を伺っていたディードであった。 ディードは両手の剣ツインブレイズを振り上げてグレイヴの背後から斬り掛かるがその攻撃が彼の身体に触れる事はなかった。 グレイヴは脇下から出したケルベロスで背中越しに銃弾をディードに撃ち込み彼女の身体を貫いていた。 魔力ダメージ弾頭に一瞬で意識を奪われたディードは衝撃に力なく転がる。 「グレイヴウウウウ!!!」 そしてこの模擬戦で残ったナンバーズ最後の一人、ノーヴェは無謀にも一直線に彼に向かってきた。 ノーヴェは脚部のジェットエッジで加速を加えた強烈な飛び蹴りを見舞う。 だがその攻撃はケルベロスの堅牢なフレームに防がれ、ノーヴェは攻撃の反動で体勢を崩して宙を舞う。 そのノーヴェの身体をグレイヴはケルベロスを捨てた左手で補足する。 右手を掴まれて宙吊りの状態になり眼前にグレイヴが握った右のケルベロス、ライトヘッド(右頭)を突きつけられる。 「…これで終わりだ、ノーヴェ」 ビルの中での攻防はグレイヴが微笑みながら言ったその言葉で終了する。 彼が放った銃弾はウェンディとディードに放った二発のみであった。 施設内のとある一角、そこに鎮座するテーブルにナンバーズ5番チンクと11番ウェンディの姿があった。 「くやしいっす! メッチャくやしいっす~!」 ウェンディはそう言いながら手にしたケーキを目の前のチンクに差し出す。 チンクは皿に乗ったそのケーキを受け取ると躊躇することなくさっさと手にしたフォークで口に運んだ。 「デス・ホーラー無しの総弾数20発の条件でも完敗か、これではグレイヴに模擬戦で勝つのは100年後だな」 「ああ…あたしのケーキが、オヤツが~…チンク姉は容赦ないっす~」 ウェンディはまるでこの世の終わりのように嘆く。 この二人は本日の模擬戦での勝敗にオヤツを賭けていたのだが、今日もまた賭けはチンクの勝ちに終わった。 そんな二人の掛けたテーブルの前にグレイヴがノーヴェとディードを連れて現われた。 だがノーヴェの顔は凄まじく不満そうに眉が歪んでいた、理由は模擬戦の勝敗ではない。 彼女の不満の原因はグレイヴとディードにあった。 先の模擬戦で至近距離からケルベロスの弾丸を受けたディードはその魔力ダメージにそれなりに消耗した為、グレイヴに抱き抱えられていたのだ。 それも世間一般で“お姫様抱っこ”と呼ばれる形で。 その姿を見たウェンディは顔を手で隠して“エチいっす、ラブいっす、お姫様抱っこっす~”などと言っていた。 グレイヴはそんなウェンディを軽く微笑んで流し、チンクに話を振る。 「チンク……スカリエッティは?」 「ドクターならEブロックにいる筈だが、しかしちょっと大袈裟ではないか?」 チンクの問いかけに苦笑して返したグレイヴは踵を返してスカリエッティの下に向かう。 「ディードしっかり掴まっていろ」 「は…はい」 グレイヴの優しい囁きにディードは顔を真っ赤にして答え、彼の首に回した手に力を込めて身体を寄せた。 ノーヴェはその場に残りディードを抱いて歩いていくグレイヴの背中を恨めしそうに見つめている。 チンクは幼稚な嫉妬心に駆られる微笑ましい妹の姿に思わず笑みを零す。 ノーヴェはグレイヴになにかと世話を焼かれているだけに彼が他の姉妹に優しくするのが気にいらなかったのだ。 そんなノーヴェの心情を察したチンクは彼女に優しく声をかける。 「ノーヴェ、そんな所に立ってないでこちらに来て座ったらどうだ?」 「…うん」 「まあ、このケーキでも食べろ」 「ありがと…チンク姉」 チンクはウェンディから勝ち取ったケーキをノーヴェに差し出す、ウェンディの“ずるいっす~ひいきっす~”等と言うセリフは華麗にスルーした。 そしてノーヴェの頭をそっと撫でて、優しい言葉をかける。 「グレイヴは姉妹みんなを大事にしているだけだ、そんなに怒るな。あまり怒ると可愛い顔が台無しだぞ?」 「…別に……怒ってない」 ノーヴェは頬を赤くしてそっぽを向く。素直でない妹にチンクはやれやれと言ってまた苦笑いを浮かべた。 管理局に存在する巨大な砲身を宿す兵器アインへリアル。 そのすぐ近くに隣接された小さな施設で“ある銃”の試運転が行われていた。 死人が十字架を操り銃火を巻き起こす。 それは十字架のような形をした巨大な銃で軽く成人男性の背丈を越える全長に、口径は30mmを遥かに凌ぐ大口径であった。 本来は銃でなく砲に分類されるその超巨銃を死人は軽々と操り爆音と共に特殊合金製のターゲットを次々と破壊する。 硬質な魔力障壁を想定したテストだったが巨銃の弾丸はいとも簡単にターゲットを穴だらけにしていく。 その銃の名はケルベロス・センターヘッド。 グレイヴの持つケルベロスのライトヘッド(右頭)・レフトヘッド(左頭)と対を成す地獄の番犬の3番目の首である。 そしてその十字架銃を操る死人兵士の名はファンゴラム。 長いコートにこれもまた長いツバの帽子を身に付け、口に拘束具のような物をつけた不気味な姿は、まるで死を運ぶ死神そのものだった。 自身の得物の試運転をするファンゴラムを眺める一人の男の姿があった。 男の名はレジアス・ゲイズ、最悪の死人兵士ファンゴラムを従えるのに成功した野望を抱く管理局の高官である。 そしてレジアスは近くに立っていた白衣の技術官に口を開いた。 「あの死人の兵器は条件を満たしているのか?」 「はい、AMF下でなら通常の魔道師が相手では話になりません。エネルギーをチャージして撃てばSランク級の魔道師でも防げはしないでしょう。他の死人の改造も順調に行っています、ただ…」 「“ただ”?」 「いえ…あの死人、ファンゴラムがたまに意味の解らない言葉を言っているんです」 「なんだ?」 「その……“グレイヴ”と」 そうして時は時空管理局地上本部での公開意見陳述界に迫る。 レジアス・ゲイズの抱える野望もまた、時と共に確実に完成に近づく。 それはスカリエッティの宿す無限の欲望をも食い尽くさんとする邪悪で歪なる計画である事を、今はまだ誰も知らない。 続く。 前へ 目次へ 次へ
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仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。 碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、 その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。 このままならすぐに温泉へと着くだろう。 キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。 ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、 キングは一人一人の顔を検分しようとする。 だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。 「ちょうどいい。お前、俺と戦え」 カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、 何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。 「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」 「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」 ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、 生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。 それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。 それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、 自分の手で殺してしまうのも憚られる。 「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」 そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。 「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」 「そいつは……!」 「おや、知り合い?」 「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」 「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」 「そうか……じゃあ、俺と戦え」 「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」 「関係ない」 にべもない一言。 浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。 とは言っても、相手はアンデッド、キング。 そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か―― いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。 「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」 「さあな」 ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。 『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は 他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。 でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。 そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。 「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」 「なに!?」 その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。 「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」 「……浅倉だ」 「そっか」 その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。 「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」 その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。 「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」 顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。 「俺と戦え!」 狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。 しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。 再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。 「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」 そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。 そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。 「何のつもりだ!?」 キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。 「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう? こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」 放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。 「……お前……何がしたい?」 「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。 仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」 「仮面ライダーらしくか……」 「そうそう♪」 キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。 そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。 目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。 キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。 そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。 そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。 自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。 (な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ) キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。 「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。 いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」 ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは 彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。 とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、 目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。 浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。 「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」 そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。 天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。 絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を 浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。 「どこだ!? そいつはどこにいる!?」 そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。 「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。 戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」 キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、 それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、 やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。 今、彼の手にはライダーベルトがある。 その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。 「あの、その人を助けてくれるんですか?」 やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。 「……その前に君の名前は何ていうの?」 「えっと、私の名前はヴィヴィオです」 ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。 「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」 「そうですか」 キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。 「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」 ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら 急いで彼の後を追いかけていった。 その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、 再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。 「待ってください」 キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。 「なに?」 「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」 「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」 「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」 「そうなの?」 「そうです!」 天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。 ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。 それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。 もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。 しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。 といっても、だからキングが何をするという話でもない。 彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。 それも相手が死んでも構わないくらいに。 彼女を壊すのは簡単だ。 天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。 そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。 だけど、それだとキングが困る。 何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。 「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」 つまんないから。 そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。 「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」 「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」 「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」 「そう……ですか。それはいい考えだと思います」 「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」 「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」 「シャーリーね。覚えたよ」 最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。 そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。 確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。 彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。 その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。 自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。 それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。 それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。 だから、彼女は天道を殺さなかった。 (ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで) ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど 何一つ残っていなかったのを思い出し、 彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。 【1日目 朝】 【現在地 C-7】 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 0.気絶中 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。 3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。 4.感謝するぞ、加賀美。 【備考】 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 ※身体がいつものように動かない事を知りました。 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌 【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 1.温泉に向かう 2.天道で遊ぶ 3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる 4.浅倉とキャロに期待 5.はやてとの合流は後ででも良いかな 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 7.とにかく面白いことを探す【備考】 ※制限が掛けられている事に気がつきました ※ゴジラにも少し興味を持っています ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 ※カブトの資格は持っていません ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。 【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】 【状態】健康、悲しみ 【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル 【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー 0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1) 【思考】 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。 1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す 2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる 3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る 4.ルルやスバルや六課の人を捜す 5.この人(浅倉)って……実は良い人? 6.デュエルアカデミアって……決闘の学校? 【備考】 ※天道のことをゼロだと思っています ※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています ※ザフィーラを大型犬だと思っています ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています ※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています ※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています ※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています 【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】 【状態】右手に火傷 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式 【思考】 基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物 1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う 2.1の後は市街地にある施設に向かってみる 3.回復した天道、キングと戦う 4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する 5.この二人がウザい。鬱陶しい。 【備考】 ※自分から二人に危害を加えるつもりはありません ※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません 【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、深い悲しみ 【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する 1.なのはママ…… 2.フェイトママを探す 3.浅倉とシャーリーに着いて行く 【備考】 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています ※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています ※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 時系列順で読む Next バイバイ Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 投下順で読む Next バイバイ Back Deathscythe キング Next 暇をもてあました神々の遊び Back Deathscythe 天道総司 Next 暇をもてあました神々の遊び Back 混濁の純血 この身は汚れても 浅倉威 Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても ヴィヴィオ Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても シャーリー・フェネット Next 三人の印象
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Another View(Raven) 「それは困るな」 そう言いながら銃を向けるが、正直、全く撃つ気はなかった。 それはそうだろう。 何せ相手は、幼くなってしまった自分と同じ、いや、もしかするとさらに年下かもしれない少女達なのだ。 昔の自分ならいざ知らず、今の自分に彼女達を撃つことはできない。 とはいえ、状況は好転したかというとそうではなく、むしろ悪化したといってもいいだろう。 先程の彼女達の会話から察するに、今、床に転がっている奴らとは別の部隊がいるようだ。 離脱し、追跡を振り切ることはできるだろうが、面倒なことには変わりない。 おまけに、何故このような場所にいるのかさえ分からないままときている。 下手に騒ぎを大きくするより、目の前の少女達から情報を入手するほうが良い。 そう判断して、口を開こうとした時だった。 「お前がやったのか・・・?」 真っ赤なドレスに身を包んだ方の少女が戦鎚をこちらに向けて問いかけてきた。 だが、放っている気配は幼い子供のそれではなく、一人の戦士―――しかも数多の戦場を駆け抜けてきた――――の纏うものだ。 間違っても唯の子供であるはずがない。 もうひとりの白服の少女に目を向ける。 相方と違い、こちらはそこまで闘志を感じられないが・・・ (位置取りが上手いな) 心の内で嘆息する。 彼女の立っている位置、それは恐らく前衛であろう相方をうまくフォローできる位置である。 それをなんの打ち合わせもなく、ごく自然に行っているのを見るだけで分かる。 彼女達は強い。 先程、面倒を見てやった連中とは比べ物にはなるまい。 さらに敵の攻撃手段を自分はよく分かっていない以上、間違っても油断できる相手ではない。 (さて、どうするかな・・・) Another View End(Raven) 「それは困るな」 その言葉と共に銃を向けてくる少年とその傍らで唸り声をあげる飛竜を見据えながら、なのはとヴィータは念話で作戦会議中だった。 (とりあえず、あの銃をどうにかしなくちゃだね) (そーだな。それにB班の連中がどうしてああなったのかもちゃんと聞き出さねえと) (それにあと10分もしたら、C班の人達とも合流できるし・・・。今は時間を稼ぐ事を優先しよう) (お、おう。んじゃ、フォローは任せたぜ) (まっかせといて!!) (・・・?やっぱり変だな) ヴィータは、先程からずっと感じていた違和感の正体を、おぼろげながらにも把握してきていた。 なのはが消極的なのだ。弱気といってもいい。 先程のことにしてもそうだ。 仲間のピンチには誰よりも早く行動するなのはが、自分にかなり遅れるようにして、この部屋に飛び込んでいった。 いまの念話にしてもそうだ。 時間稼ぎという作戦は確かに理に適っている。現状ではベストと言ってもいいだろう。 しかし、なのはにしては、時間稼ぎという考えに辿り着くのが早すぎる。 (いつものなのは・・・だよな?) ヴィータは思わず横目で確認してしまったが、そこには“全力全開”をモットーとする高町なのはがレイジングハートを構えているだけだった。 (ま、誰にだって調子の悪い日はあらーな。今はそれよりも・・・) 目の前の少年に注意しなくては、と、ヴィータは起動させていたグラーフアイゼンを構え直し、 「お前がやったのか・・・?」 地面に横たわっている隊員を示して問い質した。 最後の通信から想像するに、彼らはそこの黒い飛竜にやられたのだろう。 そしてその飛竜は目の前の少年の使い魔と見て間違いあるまい。 しかし、分からないのは何故使い魔に襲わせた隊員達を介抱したかという事だ。 ヴィータは、彼の意図している所が全く掴めなかった。 そのヴィータの質問に対し、少年は 「ん?ああ。あのまま放っておいても無事だったろうが、こっちにも非はあるからな。一応、介抱しておいた」 とあっさり認めてしまった。 「分からねーな。一度は襲わせといて、何で助けるような真似をするんだ?」 「いや、俺は足止めするように命令しただけだ。なにも殺そうとしたわけじゃない。情報元がなくなってしまうからな。・・・まあ、シャドーがここまでするとは俺も思ってもみなかったが」 (・・・シャドー?それがあの飛竜の名前か) (そうみたいだね。それにあの子のお話を信じるなら、そんなに悪い人じゃなさそうだよ、ヴィータちゃん) (でも油断はできねえぞ。嘘の可能性もあるし、なにより銃を持ってるってだけで信用でき・・・、何!?) (!?) なのはとヴィータは驚愕した。 なんと目の前の少年が銃を足元に落とし、両手を挙げたのだ。 シャドーという竜も羽をたたみこみ、唸り声をあげるのをやめている。 一連の行動の意味が分からない程、二人は馬鹿ではない。 「降伏するってのか?」 「ああ。俺は、現状が全く把握できてないんだ。とりあえず、ここはどこなのか。後、君達が何者なのか説明して欲しい。こいつらに聞くつもりだったんだが、シャドーがのしてしまったからな」 「「・・・?」」 思わず顔を見合わせる二人。 彼の言葉を信じるなら、この遺跡の事、また、自分たち時空管理局のことを何も知らないということになる。 (どーゆーこった) (わ、私に聞かれても困るよ。でもやっぱり、悪い人じゃなさそうだね) (なのは、おめーは相手の言うことを信じすぎだ。罠かもしれねーんだぞ) (ヴィータちゃんは疑いすぎだと思うけどなぁ) と念話で会話しつつ、なのはは両手で構えていたレイジングハートを左手に持ち替え、右手を自分の胸にあてながら少年に微笑みかけた。 「と、とりあえず、初めましてだね。私は高町なのはっていうんだ。こっちはヴィータちゃん」 「ヴィータだ」 にこやかななのはとは対照的に、ぶすっとしながらも、自己紹介をするヴィータ。 「俺はレイヴンだ。こいつはシャドー」 そう言ってなのは達の自己紹介に答える少年―――レイヴン――――は、苦笑していた。 「てめー、何がおかしい?」 「ん?いや、悪いな。おまえの性格が分かりやすいもんだからつい・・・」 「んだとぉ!」 「ちょ、ちょっとヴィータちゃん!落ち着いて」 それを聞いてレイヴンに向かって一歩踏み出そうとするヴィータを後ろから羽交い絞めにするなのは。 レイヴンはといえば、相変わらず苦笑しながら彼女達の様子を眺めている。 それを目にしたヴィータは、さらに頭に血が上ったようで、なのはから逃れようと体をよじらせた。 どうやらこの二人、相性はよくなさそうである。 「ヴィータちゃん、落ち着いてったら!!もう!!レイヴン君もからかう様な事言わないの!!」 「・・・!」 すると、なのはのその言葉の何処に驚くところがあったのか、レイヴンは表情から苦笑を消し、半歩ほど後ずさった。 その予想外の反応に思わずなのははヴィータへの拘束を緩めてしまった。 しかし、解放されたヴィータもレイヴンを訝しげに見据えるだけで、突っ込んでいくようなことはしない。 「あ、あのっ。わ、私、何か変な事言ったかな?」 「・・・いや。別にそういう訳じゃない」 レイヴンはそう言いながら、自身のとった態度に気が付いたのか、再び苦笑を滲ませた。 しかし、その笑みは先程のからかう様なものではなく、どこか自嘲を含んだものだった。 「そんな呼び方をされるのは初めてだったからな。少し驚いただけだ」 「・・・?」 「・・・(こいつまさか)」 その発言と表情に何か感づいたヴィータと、全く意味が分からないなのはが、同時に声をかけようとしたその時だった。 「高町隊長!ヴィータ副隊長!ご無事で!?」 大声を上げながらC班の隊員達が雪崩れ込んできた。 位置的には、レイヴンを挟んでなのは達の反対側。 つまり、図らずして挟み撃ちできる位置に到着したのだ。 既に全員がデバイスを起動しており、戦闘準備は万端といった様子だ。 しかし、彼らがまずのは目にしたのは、床に倒れ伏したB班の隊員である。 勿論彼らは、なのは達からの連絡を受けていないのでB班全員が無事である事を知らず、また、レイヴンとシャドーが彼らの視線を遮る様な位置にいた為に、隊員の状態を確認することは困難だった。 その為、なのは達と向かい合う様に話していたレイヴンとシャドーに敵意の篭った視線を向けた。 「何!?」 「子供!?」 「そんな馬鹿な!」 「飛竜にやられたんじゃなかったのか!?」 皆が様々な事を口走るなか、リーダー格の男が一歩前に踏み出してレイヴンを睨み据えた。 「なあ、坊や?パパやママにやって良い事と悪いことがあるって教わらなかったのかな?それと、足元の銃を拾う様な事はするんじゃないぞ。拾ったら最後、次に目を覚ますのは病院のベッドの上だ」 と悪意たっぷりに言い放つ。 しかし、レイヴンは返事の代わりにこれ見よがしに溜め息を吐くだけだった。 「貴様・・・!」 「ちょ、ちょっと待って下さい!」 声を荒げる隊員から険悪なものを感じてなのはが声を掛けた。 「彼は、レイヴン君っていうんですけど、反撃の意思はないそうです。それにB班の皆さんは無事です」 「そーいうこった。こいつも悪いけど、子供相手にいつまでも目くじらたててんじゃねー。それよりも、おめーらはさっさとB班の奴らを運んでやれよ。A班とD班の奴らには私が連絡しとく」 なのはに続いてヴィータも声を掛ける。 さすがに隊長の言葉を疑う訳にもいかなかったのか、C班の隊員達はレイヴンの横を警戒しつつも通り過ぎ、B班のもとにたどり着くと、気絶している隊員達に浮遊魔法をかけ、遺跡外へと運び出すべく動き出した。 その間、なのはとヴィータは、銃を回収するべくレイヴンへ歩み寄った。 「悪いんだけど、銃は預かるね。分かってると思うけど、ミッドチルダでは所有するのも禁止されているから、もしかしたら返せないかもしれないよ」 「後、バインドもかけさせて貰うぞ。アースラ―――私らの母船の次元航行艦に戻るまで我慢してくれ」 そう言いながら、声を掛ける二人。 しかし、レイヴンは返事をしない。 怪訝に思ったなのはがレイヴンを見ると、彼は何か驚愕したような表情で、運び出されていくB班の様子を見ていた。 「レイヴン君?」 「あれは、一体何だ?どうやって人を浮かばせている?」 「え?いや、唯の浮遊魔法だけど・・・」 「魔法?」 レイヴンは信じられないという様に頭を降った。 「そんな物が現実に存在するなんてな」 「ひょっとして・・・」 なのはがある予感を感じながら、レイヴンに問い返した。 「魔法の事、何も知らない・・・?」 「ああ」 即答だった。 それだけでなのはとヴィータは、ある程度レイヴンのおかれた状況が分かり始めてしまった。 (魔法の事を何も知らないって事は、もしかしたら、レイヴン君はここの世界の人じゃないのかな?) (もしかしなくてもそーだろ。つーか、こんな無人の筈の遺跡の奥深くに子供と使い魔一匹いるってだけで充分おかしい。たぶんだけど、何かのロストロギアでいきなり転送されたんじゃねーのか?) (じゃあ、捜査対象の魔力反応は・・・) (そのロストロギアが発生させたもんだろーよ) (でもおかしいなあ。ここの遺跡を調査したのってユーノ君だよ。ユーノ君が、ロストロギアを見落とすことなんてあるかな?) (私が知るかよ。でも、もしかしたらそのロストロギアはレイヴンの世界だけにあって、各世界へ勝手に飛ばす物かもしんねーだろ。それだったら、この遺跡からは何も出てこねーじゃねーか) (あ、そーか。ヴィータちゃん、あったまい~) そう、念話でなのはとヴィータが話し合っている間、レイヴンも現状の把握に努めているようだったが、如何せん情報が全くと言っていいほど少ないため、結局なのは達に尋ねることにしたようだ。 「とりあえず、魔法があることは分かった。君達やあいつらも魔法を使う組織に属してるんだろう。じゃあ、何で関係のない俺がこんな所にいるんだ?」 もっともな疑問である。 「あ、うん。それはね、私たちがロストロギアって呼んでる、古代遺産のせいだと思うの。たぶんだけど、レイヴン君がこの世界に転送された時に発生した魔力の調査の為に私達は、この遺跡にやって来たんだ」 「・・・?つまり、古代遺産の転送装置のせいで俺はここにいる、ってことか」 「現状ではそれくらいしか理由が思いつかないよ。レイヴン君がもといた世界に、何か変わった物はなかった?」 「いや、特にそれらしきものはなかった」 「それじゃあ、この遺跡に転送されてきた時、側には何もなかった?」 「その筈だ。少なくとも、俺が通ってきた道には何もなかった。シャドー、お前は何か見たか?」 しかし、傍らの黒竜は首を横に振るばかり。 「・・・だそうだ」 「もしかしたら、見落としてるかもしれねーしな。調査の続きもしなくちゃいけねーから、レイヴンの出てきた場所まで行ってみるか。道順は覚えてるか?」 「問題ない」 「じゃあ、さっきも言ったけど銃は預からせてもらうね」 「あとバインドもな。両腕を前に出してくれ」 そう言うと、なのはは足元に落ちていた銃を拾い上げ、BJのポケットに仕舞い込んだ。 続いて、ヴィータがレイヴンの両手首にバインドをかける。 「なるほど、これも魔法か。便利なもんだな」 「ごめんね。しばらくこのままになっちゃうけど」 「構わないさ。そうされても仕方がないことをやったんだからな」 苦笑しながら返すレイヴン。 「ほー、意外と聞き分けがいいじゃねーか。さっきまでの態度はどーしたよ?」 「ふん。やっぱり分かりやすい性格だなお前」 「っんだと!」 「もーう、だから喧嘩は駄目だってば!」 しかし、喧嘩は続くことはなかった。 なぜなら・・・・ 「こちら、C班!遺跡入り口周辺にて、アンノウンと交戦中!至急救援を!繰り返す!現在、アンノウンと交戦中!至急救援を!なお、敵は、微弱ながらもAMFを纏っています!」 「「「!?」」」 突如として飛び込んできた、通信になのはとヴィータは顔を見合わせ、レイヴンに向き直った。 その表情から何を聞きたがっているかを察したレイヴンは、二人が口を開くより先に 「悪いが俺は何も知らない」 と言い放った。 なのはと違い、事の真偽を質したそうなヴィータだったが、すぐにそれが本当のことである事に気づかされることになった。 突然、シャドーが通路のある方向へ向き直り、唸り声をあげ始めたのだ。 「どうしたシャドー?」 「「?」」 何が起こっているか分からないままに、警戒態勢をとる3人。 そして次の瞬間だった。 シャドーが羽を広げるやいなや、何も見えない空間に向かって突撃していく。 そして80m先で金属のひしゃげる様な嫌なおとが響いてきたと同時に、なにもなかった筈の空間に突如として小型の機械が転がり出た。 それはまるで蜘蛛の様な機械だった。 鋭角的な胴体にカメラアイ、そして3対の足を持っている。 否、持っていたのだ。つい先程まで。 もはやそこにあるのは、ただの鉄屑だった。 カメラアイは粉々になり、5本の足がひしゃげて地面に転がっている。 そしてそれを行った張本人は、通路の先を警戒するように睨み据えていた。 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女スバル 571 :名無したちの午後:2011/10/27(木) 19 11 14.91 ID Q7J102iZ0 魔法少女スバルの足コキシーンみたいに心も服従するようなシチュってなかなかないな。個人的にすげー興奮するのに。 関連レス